古来、男性が結婚し、妻にセックスを求めてきたのは、原則として、結婚しない限り、女性がセックスに応じようとしなかったからにほかなりません。


あるいは、古来、女性が夫(又は彼氏)以外の男性とセックスしたがらなかったのは、セックスとは相手男性の子を妊る可能性を秘めた行為だったからにほかなりません。


だからこそ、高精度の避妊手段が普及するにつれ、婚姻関係の有無に関係なく、避妊に留意しながらセックスをエンジョイする男女が増えてきたわけです。


当然ながら、女性と付き合うだけで可能になった、現代男性にとってのセックスと、一所懸命に働き、一人前の男と認められ、女性と結婚できてはじめて可能になった、昔の男性にとってのセックスとでは、同じセックスとは言っても、その【有り難み】や【希少価値】という点では、ほとんど月とスッポンほどの差異があると言わざるを得ませんよね。


高精度の避妊手段が普及するにつれ、妊娠の不安から解放された女性は、風俗産業やAV業界に自らの【性的価値】を高く売りつけることが可能になり、さらには婚姻関係の有無に制約されず、女性主導でのセックスも可能になったというわけです。


その結果、現代男性は、昔の男性のように、女性から課されてきた高いハードル(結婚)をクリアせずとも、風俗、アダルトサイト(AV)、彼女によって、より簡単に射精の快楽のみならず、セックスの快楽をも味わえるようになったわけです。


こういう性的環境に置かれている男性が、昔の男性ほどにセックスを主たる目的、動機にして結婚することも、結婚後に雄々しく妻の肉体を貪るような旺盛なセックス欲を発揮することもなくなったとしても、これはこれであまりにも当然すぎる結果と言わざるを得ませんよね。


こうして、今や、男性側セックスレスは増えることがあっても減ることはないという、昔の女性には想像すらできなかった、前代未聞の性的情況を迎えつつあると言えるのではないでしょうか。


その意味では、長い間女性を苦しめてきた、望まぬ妊娠や命がけの出産から女性を解放したはずの、高精度の避妊手段の普及こそが、結果的に男性のセックス欲の減退、低下を招き、ひいては男性側セックスレスに苦悩する女性をも増やしつつある、と結論せざるを得ません。

 

もし、夫(男性)側セックスレスが、以上のような意味での構造的な現象であるとしたら、これを夫の義務放棄だとか、妻のセックス権への侵害だとか、妻への愛情不足だとか、妻の性的魅力の欠如だとかと捉えるのは、あまりにも表層的、皮相的な勘違い、誤解でしかないと言わざるを得ません。